家づくりにおいて、後悔の上位に必ず入るのが「収納が足りなかった」という声です。しかし実際には、収納不足は“収納量が少なかったから”ではなく、“収納を後から考えたから”生まれる失敗です。本来、収納計画とは間取りの一要素ではなく、生活動線そのものと密接につながった「設計の中心」に置いて考えるべきものなのです。
まず最初に必要なのは、「何を、どこで、どれだけ使っているか」を洗い出すこと。これは単なる物量の確認ではなく、暮らしのリズムを把握する作業です。帰宅後の行動、朝のルーティン、洗濯の流れ、キッチン作業の動きなど、家族それぞれの生活パターンを丁寧に観察すると、必要な収納の位置と大きさが自然と見えてきます。たとえば、帰宅してすぐにコートを脱ぐ家なら玄関横にクローゼットが必要ですし、リビングで着替える習慣の家庭ならリビング横に収納がある方が合理的です。
また、“収納率◯%”という数字は家づくりの参考にはなりますが、それを基準に設計を進めると失敗することが多いです。大切なのは「数字ではなく動線」。収納率が高くても、必要な場所に収納がなければ使いづらく、逆に収納率が低くても、動線上に適切な収納があれば快適に暮らせます。つまり、収納計画とは“量”より“位置”と“使いやすさ”が重要なのです。
さらに、設計段階で考えておくべき視点のひとつが「変化への対応」。子どもの成長、働き方の変化、趣味の増減など、家の使い方は時間とともに変わっていきます。そのため、収納は固定しすぎず、可動棚やフレキシブルなスペースを設けることで、将来的な変化にも対応できる“伸び代”を持たせておくことが理想です。また、収納の扉や奥行きなど細部にも配慮し、無駄なデッドスペースが生まれないよう最初から計画しておくと、完成後の満足度が大幅に上がります。
収納は「余った場所に作るものではない」。暮らしを中心に設計し、その動線に沿って自然に生まれるもの。これが、収納計画の本質であり、後悔しない家づくりの第一歩なのです。
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